窒息解除法といえば、救命講習の中でも定番で、度重なるガイドライン改訂でもほとんど変わらない古典的な技術です。
一般の救命講習でも、ほぼ必ず扱っている内容なので、なにをいまさらと、感じる方もいるかもしれません。(特に指導員は)
しかし、訓練方法を変えて、シミュレーションベースでやってみると、様相は一変します。
誰もできないのです。
日頃救命法の指導員をしているような人でも、セオリー通りに動ける人は、ほとんどいません。
こうした現状を見ると、しばしばニュース報道でも見るような、現実の気道異物窒息事故で適切に行動できなかったのは仕方ないことなのかなという気にもなります。
ということで、BLS講習や救命講習を手がけている方は、ぜひ窒息解除法のシミュレーションを講習の中に含めることをお勧めしたいです。
特別な道具は必要ありませんし、時間もほとんどかかりませんから。
私達がやっている窒息解除のシミュレーションのポイントは、
1.テーブルの前に椅子に座った状態
2.苦しがる演技(できれば派手目に)
です。
演技の迫真さ(?)が大切ですので、傷病者役はデモンストレーション的にインストラクターがやっています。
受講者の中で誰か一人救助者役をやってもらいます。
腹部突き上げや背部叩打は"振り"だけで、力を入れないようにお願いしておきます。しかし、それ以外のことは本気でやってほしいことも。
その他の受講者はその場に居合わせた通りすがりの人ということにしておいて、なにか頼まれたら、嫌でなければ協力してもらうことにします。(拒否するというハプニングのシミュレーション的にはアリです)
そんなブリーフィングをしてから、職場の食堂などで食事中に喉にものを詰まらせたという設定で、インストラクターが気道完全閉塞の演技をはじめます。
そこで救助者は教わったとおり、腹部突き上げ法(ハイムリック法)や背部叩打法をしようとしますが、問題となるのは傷病者の姿勢です。
椅子に座った状態でどうやって、腹部突き上げ法や背部叩打法を実施するか?
そこでとまどう方が多いです。
教わったはずの立位の姿勢でないために、どうしたらいいかわからなくなってしまうのです。
助け舟を出す場合は、窒息介助の手順を思い出してもらいます。
いきなり背中を叩いたり、お腹を押したりはしないですよね?
まずは状況評価と救助の宣言。
「詰まったんですか? 今から助けますね」という事になってましたよね?
この時に、座ったままで背部叩打や腹部突き上げ法がしにくいようであれば、立ちあがってほしいという旨を伝えればいいわけですね。
もしくは自分が膝をついて傷病者の腹部圧迫を行うというのも手です。
肘掛けがある椅子の場合や、老人ホームの設定で車いすの場合は、自分で立ってもらうのも困難で、座位での腹部突き上げも難しければ、座ったまま出来る方法として、背部叩打法ということになるでしょう。
つまり、チョーキングチャーリー(窒息介助練習専用マネキン)相手に腹部突き上げや背部叩打の技術(テクニカル・スキル)を練習しても、問題となるのはその手前のノン・テクニカルな部分が重要な鍵だということです。
シミュレーションの中では、背部叩打や腹部突き上げ法だけでは終わらせません。ファーストエイドの基本は常に最悪の状態を想定すること。つまり、そのまま意識を失う演技を続けます。
意識を失うタイミングは、現実の時間で言うと1分~2分の間くらいです。
窒息解除法は意識(反応)がある場合とない場合でやり方が違ってきます。そこをきちんと認識して対応できるか、というのも、このシミュレーションのポイントです。
市民向け講習の中には、意識消失した場合の対応をきちんと教えていない講習もあるようですが、反応がなくなった場合は、床に寝かせて胸骨圧迫からCPRを開始するのが国際コンセンサス。
それがわかっていても問題となるのは、どうやって椅子から床に下ろすのかという点です。
ここで固まっていたり、試行錯誤しているうちに平気で数分が経過してしまいます。
人が息を止められるのは何秒か? そんなことを考えるとこの時間の遅れの重大さがよくわかると思います。
シミュレーションで学んでほしいのは、窒息介助は時間との戦いであるという点です。
この点と合わせて通報をどのタイミングで誰が行うかというのも問題です。
このあたりを受講者全員でディスカッションして、考えられるといいですね、
やっていることはあくまでもシミュレーションであって、リアルな現場ではありません。
シミュレーションゆえにどこまで本気になっていいかわからないからこそ、うまく行かなかったという部分もあるとは思います。
しかし心肺蘇生法の国際コンセンサスCoSTR2010のEIT(教育、実行性、チーム)の章でも明記されているように、いざCPRができなかった最大の要因は「パニックになった」という点です。
あたまが真っ白になる。それはリアルな現実でも起きることです。
知っているはずの技術がいざというときに使えないという現実をシミュレーションで知ることで、本当に動けるためには何が必要なのかが見えてくるはずです。
窒息解除もCPRとおなじで、決して難しい技術ではありません。
しかし、それはお作法をこなすだけの講習では使えるレベルでは身につかないという現実を直視すべきです。
ほんのすこしだけ踏み込んで、5分程度でできるシミュレーションを取り入れることで、受講者意識は劇的に変わるはずです。
せっかくの学びの時間をムダにしないために、、、、
ぜひ、指導法を検討してみてください。
一般の救命講習でも、ほぼ必ず扱っている内容なので、なにをいまさらと、感じる方もいるかもしれません。(特に指導員は)
しかし、訓練方法を変えて、シミュレーションベースでやってみると、様相は一変します。
誰もできないのです。
日頃救命法の指導員をしているような人でも、セオリー通りに動ける人は、ほとんどいません。
こうした現状を見ると、しばしばニュース報道でも見るような、現実の気道異物窒息事故で適切に行動できなかったのは仕方ないことなのかなという気にもなります。
ということで、BLS講習や救命講習を手がけている方は、ぜひ窒息解除法のシミュレーションを講習の中に含めることをお勧めしたいです。
特別な道具は必要ありませんし、時間もほとんどかかりませんから。
私達がやっている窒息解除のシミュレーションのポイントは、
1.テーブルの前に椅子に座った状態
2.苦しがる演技(できれば派手目に)
です。
演技の迫真さ(?)が大切ですので、傷病者役はデモンストレーション的にインストラクターがやっています。
受講者の中で誰か一人救助者役をやってもらいます。
腹部突き上げや背部叩打は"振り"だけで、力を入れないようにお願いしておきます。しかし、それ以外のことは本気でやってほしいことも。
その他の受講者はその場に居合わせた通りすがりの人ということにしておいて、なにか頼まれたら、嫌でなければ協力してもらうことにします。(拒否するというハプニングのシミュレーション的にはアリです)
そんなブリーフィングをしてから、職場の食堂などで食事中に喉にものを詰まらせたという設定で、インストラクターが気道完全閉塞の演技をはじめます。
そこで救助者は教わったとおり、腹部突き上げ法(ハイムリック法)や背部叩打法をしようとしますが、問題となるのは傷病者の姿勢です。
椅子に座った状態でどうやって、腹部突き上げ法や背部叩打法を実施するか?
そこでとまどう方が多いです。
教わったはずの立位の姿勢でないために、どうしたらいいかわからなくなってしまうのです。
助け舟を出す場合は、窒息介助の手順を思い出してもらいます。
いきなり背中を叩いたり、お腹を押したりはしないですよね?
まずは状況評価と救助の宣言。
「詰まったんですか? 今から助けますね」という事になってましたよね?
この時に、座ったままで背部叩打や腹部突き上げ法がしにくいようであれば、立ちあがってほしいという旨を伝えればいいわけですね。
もしくは自分が膝をついて傷病者の腹部圧迫を行うというのも手です。
肘掛けがある椅子の場合や、老人ホームの設定で車いすの場合は、自分で立ってもらうのも困難で、座位での腹部突き上げも難しければ、座ったまま出来る方法として、背部叩打法ということになるでしょう。
つまり、チョーキングチャーリー(窒息介助練習専用マネキン)相手に腹部突き上げや背部叩打の技術(テクニカル・スキル)を練習しても、問題となるのはその手前のノン・テクニカルな部分が重要な鍵だということです。
シミュレーションの中では、背部叩打や腹部突き上げ法だけでは終わらせません。ファーストエイドの基本は常に最悪の状態を想定すること。つまり、そのまま意識を失う演技を続けます。
意識を失うタイミングは、現実の時間で言うと1分~2分の間くらいです。
窒息解除法は意識(反応)がある場合とない場合でやり方が違ってきます。そこをきちんと認識して対応できるか、というのも、このシミュレーションのポイントです。
市民向け講習の中には、意識消失した場合の対応をきちんと教えていない講習もあるようですが、反応がなくなった場合は、床に寝かせて胸骨圧迫からCPRを開始するのが国際コンセンサス。
それがわかっていても問題となるのは、どうやって椅子から床に下ろすのかという点です。
ここで固まっていたり、試行錯誤しているうちに平気で数分が経過してしまいます。
人が息を止められるのは何秒か? そんなことを考えるとこの時間の遅れの重大さがよくわかると思います。
シミュレーションで学んでほしいのは、窒息介助は時間との戦いであるという点です。
この点と合わせて通報をどのタイミングで誰が行うかというのも問題です。
このあたりを受講者全員でディスカッションして、考えられるといいですね、
やっていることはあくまでもシミュレーションであって、リアルな現場ではありません。
シミュレーションゆえにどこまで本気になっていいかわからないからこそ、うまく行かなかったという部分もあるとは思います。
しかし心肺蘇生法の国際コンセンサスCoSTR2010のEIT(教育、実行性、チーム)の章でも明記されているように、いざCPRができなかった最大の要因は「パニックになった」という点です。
あたまが真っ白になる。それはリアルな現実でも起きることです。
知っているはずの技術がいざというときに使えないという現実をシミュレーションで知ることで、本当に動けるためには何が必要なのかが見えてくるはずです。
窒息解除もCPRとおなじで、決して難しい技術ではありません。
しかし、それはお作法をこなすだけの講習では使えるレベルでは身につかないという現実を直視すべきです。
ほんのすこしだけ踏み込んで、5分程度でできるシミュレーションを取り入れることで、受講者意識は劇的に変わるはずです。
せっかくの学びの時間をムダにしないために、、、、
ぜひ、指導法を検討してみてください。